アンディ・フェアウェザ・ロウ「僕は毎日死ぬ」 | 牧歌組合~45歳からの海外ミュージシャン生活:世界ツアーに向けて~

アンディ・フェアウェザ・ロウ「僕は毎日死ぬ」

 循環コード(I-VIm7-IIm7-V7)の一種類しかコード進行がない世界を空想したとしても、おそらく、僕らは音楽を愉しむことが出来ると思う。循環コードのことをコーネル・デュプリー先生は「Ice Cream」と呼ぶのであるが。


 さて、勝手に曲の邦題をつけているが、アンディ・フェアウェザ・ロウ(Andy Fiarweather-Low)の「Everyday I Die(僕は毎日死ぬ)」のコード進行も循環コードだ。1974年にA&Mからリリースされた「スパイダー・ジャイヴィング(Spider Jiving)」のラストに収録されている作品。


ギター:ヘンリー・マカラック

 (Henry McCullough:元Paul McCartney&Wings、Greasebandなど)


ベース:クリス・スチュワート

 (Chris Stewart:元Spooky Tooth、Terry Reid、Aire Apparentなど)


ドラムス:デニー・シーウェル

(Denny Seiwell:元Paul McCartney&Wings、John Denverなど)


・キーボード:ミック・ウィーヴァー

(Mick Weaver:元Hemlock、Keef Hartley Band、Wynder K. Frogなど)

 

 が基本となるバンドセットで、それぞれ60~70年代のブリティッシュ・ロックの兵ミュージシャンであるため、演奏だけでも心地よい。


 キーはCメジャーで、

|Dm |G7 |C |A7|

 の繰り返し(歌パート部分)。つまり、

|IIm |V7 |I |VI7|


 の、循環コード。VI7はIIm-V7のドッペルドミナントとしてのメジャー化。この他、ホーン主体の間奏が、”ご挨拶”程度、「あぁ~単調すぎるから、ちょっと間奏くらいコード進行替えるべか」程度に付け足されているが、あまり面白くないのでソッチは無視したほうがよい。


 さて、循環コードの歌部分であるが、歌詞がなんともすごい。


 何がすごいかというと、希望がないのである。大意としてサビ部分を翻訳してみる。


■□■□■□■□■□↓以下翻訳(大意)。


毎日僕は死んでる。

自分をアホと気づいたが遅すぎた。

あとは人生を浪費するだけだ。

毎日僕は死んでいる。


■□■□■□■□■□↑以上翻訳(大意)。



 なんか途中で気合を入れて前向きになったりしない。無理に頑張ろうともしない。曲始めから最後まで、コノ感じである。明るい歌詞がない。ある意味、非常に潔い。


 だからコノ曲は、もう20年ほどから、お気に入りになっていて、循環コードで遊ぶときは、結構な確率で口ずさんでしまう。マジで、オススメです。


 フェアウェザ・ロウの本職は、一応シンガーソングライターというかロックシンガーなんだろうけど、一時期(1990年代。おそらく今年は同行してないはず??)、エリック・クラプトン先生のバンドで、アコースティック・ギタリストとして、共演していた時代がある。「アンプラグド」でも弾いている。その彼の姿しか知らない人は、ぜひいちど、この曲を聴いて欲しい。

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